摩擦黒皮症
摩擦黒皮症(まさつこくひしょう)とは、皮膚に黒褐色の色素沈着が起きる症状です。
色素沈着には女性ホルモンの影響が強いため、しみと同じく、摩擦黒皮症も女性、特に30歳代に多いようですが、黒皮症はしみよりはるかに厄介だそうです。
皮膚は、垢などになって絶えず生まれ変わる表皮と、その内側の強い結合組織である真皮の2層でできています。
しみはメラニン色素が表皮の一部に過剰にたまった状態ですが、黒皮症はメラニン色素が真皮まで入り込んでしまうのです。
表皮と真皮の境にある表皮基底層に炎症が起きて細胞が変性すると、メラニン色素が真皮に入ります。
これを苔癬(たいせん)型組織反応といいます。
過去にはアレルギーでしか起きないと考えられていましたが、強い摩擦を繰り返すとこの反応が起きるのが摩擦黒皮症なのです。
原因としては、主にナイロンタオルだといわれていますが、それだけではありません。
ナイロンタオルやボディーブラシ、石鹸やボディーシャンプー、強くこする洗い方の3つの要素が重なって起こってしまうのです。
摩擦を受けた皮膚は、皮膚の表面にある角層がはぎ取られ、石鹸の作用によって、皮膚に膜を作って保護する皮脂が抜け出て、老化した皮膚と同じ状態になってしまいます。
また摩擦黒皮症になるのは、強い力がかかりやすい鎖骨や肩甲骨の上が多いです。
これは本人には見えにくく、また痛みもかゆみもないので、長い間気付かない人もいるそうです。
治療方法としては、まず強く洗うのをやめることでしょう。
たとえナイロンタオルをスポンジに変えても、同じように強く洗ってしまうと、意味はないし、治ることもありませんよね。
またいきなり湯船に入らず、体にお湯をかけてから、手に石鹸を付けて軽く洗い、それから湯船に入った方がいいでしょう。
こうすることで、皮膚が柔らかくなって、新しい皮脂が出てきて皮膚を守ってくれます。
真皮は表皮と違って、生まれ変わったりはしないので、メラニン色素が分解され、排せつされるまで黒褐色の色は消えません。
また色は1年ほどで薄くなりますが、完全に治るまでにはおよそ3年はかかるんだそうです。
保湿剤で皮膚を保護することも大切でしょう。
アルブチンやコウジ酸を含んだ美白化粧品は、退色を早くするようなので、一度試してみるといいかもしれませんね。